釦録
萌えメモ的な何か
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Dear my Future ②
Category トリコ
①が11月の更新だと…?!馬鹿な…!!
しかも続くだと…?!馬鹿な…!!
【諸注意】
・以前書いた記憶喪失話の続きの続きです。
・小松くんがお留守番してるだけです。
・まだ終わらない\(^0^)/
しかも続くだと…?!馬鹿な…!!
【諸注意】
・以前書いた記憶喪失話の続きの続きです。
・小松くんがお留守番してるだけです。
・まだ終わらない\(^0^)/
その後、ボクはなんとなく落ち着かず、家の中をぐるぐると見て回った。
フローリングの床をスリッパで歩くと、どこからかピンクのペンギンが現れてボクについてきた。トリコさんのペットかな?でもボクを見てユンユンと甘えるように鳴いている。
「寂しいの?じゃあ、ボクと一緒にお留守番しようか。」
存在感のあるトリコさんが去った後の部屋は、とても広く感じた。
というよりも、実際にかなり広かった。
ボクも心細くなってしまい、ペンギンと手を繋いだ。広い窓から外を眺めると、眼下にはビルやホテルが立ち並ぶ。ここは大都会の一等地の高層マンションのかなり高い階のようだった。
そういえば、トリコさんがボクと一緒に暮らすにあたって、ボクの職場に近くなるようにここを買ったんだと言っていたなあ。
(その際に「前の家はどうしたんですか?」と尋ねたら「食べた。」と答えられたけど、あれはなんの冗談だったんだろう。)
家賃だってかなり高そうなのに、トリコさんは一体何者なんだろう。
朝食に使った食材だって、触ったことのない希少なものばかりだった。器具だって。
でもあの有名なメルク包丁は元々ボクの持ち物だって言っていたけれど…
考えてもわからないことばかりなので、諦めたボクは暇つぶしにテレビをつけた。
トリコさんは外出しても構わないと言って鍵を渡してくれたけれど、どこに行ったらいいのかわからないのだ。
毛足の長い絨毯の上に膝を立ててしゃがみ込む。触ったことのないような柔らかい毛皮だ。この絨毯もきっとすごく高いのだろうなあ。
大きくて薄っぺらなテレビがニュースの画面を映し出した。
今のテレビってこんなに綺麗な画面なんだ!「すごい!」と声を上げて、ペンギンに話しかけてボクは笑った。そのまま「何観ようか」とペンギンに話しかけながらチャンネルを回す。
回す。
回す。
チャンネルを回しても回しても、ボクの知っているものは映らない。
知らない人、景色、話題、食材、料理、場所、商品、事件…
耳慣れない言葉、見慣れない景色、誰か分からない人、人、人。
じんわりと、手の指が汗をかく。
ボクは必死に願う。何か、ボクの知っているものが映って欲しい。
無意識のうちに手が小刻みに揺れていた。汗で滑って、ボクはリモコンを落としてしまった。
リモコンはふかふかの絨毯の上に吸い込まれるように音もなく落ちた。ボクはリモコンを拾おうと手を伸ばす。
リモコンまでがひどく遠く感じた。目が霞む。喉がからからだ。
その時だった。画面に知っているものが現れた。
「―――近日、新たな食材を発見された美食屋の方にお話を伺いたいと思います。」
画面いっぱいに映し出される、大柄な男性。
オレンジの繋ぎと、背景の空よりも深い青の髪、三本の頬の傷。
「トリコさん…」
トリコさんへのインタビューの後、ピンクのスーツを着た女性キャスターがトリコさんの経歴を説明し始めた。VTRと共にトリコさんの輝かしい経歴が語られる。トリコさんは、現在世界に存在する30万種の食材のうち実に2%を発見しており、グルメ時代のカリスマと呼ばれているのだそうだ。
この人がついさっきまでボクと一緒に同じ食卓でご飯を食べていたなんて。
ボクは落としたリモコンを拾うことも忘れて、煌々と輝く画面ごしにトリコさんを見つめた。
「一体どうして…」
こんなすごい人が、ボクに、ここまで。
その時、玄関のチャイムが鳴った。
誰だろう?ボクが出ても仕方がないのかもしれないけれど、でも荷物ぐらいなら受け取れるかな、と思ったので、ボクはドアを開けた。
「やあ、久しぶりだね、小松くん。」
そこには長身の男性が立っていた。
ボクは失礼なことに、ぽかんとその人の顔に見入ってしまった。
だって、まるで王子様のような美形だったのだ。涼しげな目元に、長い睫毛。形のよい唇に浮かぶ笑みはとても優雅だ。
トリコさんの知り合いだろうか。でも、確かにこの人は今ボクの名前を呼んだ。
「トリコさんは今いないんですけど…すみません、どちら様ですか?」
「そうなんだ?トリコが君を置いて行くなんて珍しいね。」
その男性が不思議そうに小首をかしげると、鎖付きのピアスがしゃらっと揺れた。
それだけで絵になるなんてすごいとボクは素直に感心した。
彼は礼儀正しく名乗り、ボクに用件を説明した。この男性はココさんという名前で、ボクの友人でトリコさんとは幼いころからの腐れ縁らしい。ココさんは箱いっぱいに輝くネオトマトを差し出した。これをおすそ分けするためにわざわざ来て下さったそうだ。
「わあ!こんなに綺麗なネオトマト、初めて見ました!」
「昨日、小松くんがミートソースを作りたいって言っていたからね。」
輝くネオトマトを取ろうとした手が、止まった。
ボクはココさんを見上げる。夜空のように深い黒の瞳と目が合った。
この人は
昨日の、そしてその前のボクを知っている。
ボクの手は再び動き始め、粒のそろったネオトマトを次々に手にとり、歓声をあげながらココさんにお礼を言った。
そして深々と頭を下げながら、さりげなさを装って切りだす。
ここはトリコさんの家だけれど、でも、ボクの家でもあるって言ってたし…と心の中で届かない言い訳をしながら。
確か食器棚に紅茶の茶葉の缶があったのを見た。不自然な申し出ではないはずだ。
「ココさん、お礼と言っては何ですが、お茶でも淹れるので上がっていかれませんか?」
「それは魅力的なお誘いだ。」
ココさんはにっこりと笑う。しかし一瞬だけ薄く開かれた目にボクの背筋が震えた。
それは、嘘がばれた時のような嫌な予感。
「何が目的かな?」
どうやらボクの浅はかな試みは見透かされているようだ。
仕方ない。元々小細工は苦手な性分なのだ。諦めて、ボクは正直に答えることにした。
「教えて欲しいんです…昨日の…いや、もっと前からのボクのことを。」
「どうして?トリコの奴は毎朝説明しているはずだろう。」
「いえ…その」
ボクの声は段々とか細くなる。これを聞いてもいいのだろうか。
聞いた後、ボクは普通でいられるのかな。もしかしたら、後悔するのかも。
でも、この疑問が錘のように胸を塞いで潰れそうだ。
「トリコさんが、どうしてボクにここまでして下さるのか、知りたいんです。」
ここで初めて、ココさんがボクの言ったことに対して予想外だったという顔をした。
そして、気のせいかもしれないと思うほど微かに、眉尻を下げた。ずっと柔和な表情をしているココさんだけれど、本当の笑みはこれが初めてだろう。
ただそれは寂しそうで、苦笑と呼んだ方がふさわしいような笑みだった。
その笑みは一瞬で消え、元の表情にココさんは戻る。
「お茶をいただこうかな。長い話になるからね。」
トリコさんがテレビにしか出てこないトリコマですwww
美形の描写って読むのは好きなのですが(ていうか、綺麗なものとかおいしそうなものの描写が好き)
自分で書くと恥ずかしいです。
次で…終わる…はず。
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