釦録
萌えメモ的な何か
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8月初更新とかwwwww
これはwwww
ひどいですねwwwwwwwww
でも、インテも終わったことだし、色々落ち着いたので、通常運行になると思います!
書きたいもの、描きたいものも溜まってるよー^^
まずは、今日ss書いてたんで、投下します!(キリッ)
未完ですが、なんか長くなりそうなので一旦ここで。
【諸注意】
・トリコマです。(と言い張る)
・薄暗いです。
・題材がベタなのはわざとです。
これはwwww
ひどいですねwwwwwwwww
でも、インテも終わったことだし、色々落ち着いたので、通常運行になると思います!
書きたいもの、描きたいものも溜まってるよー^^
まずは、今日ss書いてたんで、投下します!(キリッ)
未完ですが、なんか長くなりそうなので一旦ここで。
【諸注意】
・トリコマです。(と言い張る)
・薄暗いです。
・題材がベタなのはわざとです。
鼻の奥がツンとする。
あの日を思い出す時、オレの良すぎる鼻にはきつすぎる薬の匂いの記憶が甦る。
それと、目を閉じた瞼の裏まで白く染まりそうな病室の白い壁。
規則的で非情にも感じる機械音。
そして。
もう何日も、できるだけ放さないようにしていた小さな手がかすかに動くのを感じると、オレは勢いよく立ちあがった。パイプ椅子が倒れて派手な音がしたが、そんなことはどうでもいい。オレはその音に負けないくらい大きな声で、その手の主の名前を呼んだ。
ゆっくりとその瞼が持ち上がり、その倍の時間をかけて瞳がオレの顔に焦点を結んだ。
オレはまた名前を呼ぶ。
「小松…!」
呼吸器をつけたまま、苦しそうに小松は口を開いた。か細くて切れ切れの言葉を理解するために、オレは小松の口元に耳を寄せる。何日かぶりに聞く小松の声は、確かにこう言った。
「どちら、さま、ですか?」
それは、その後のオレが毎日聞くようになるセリフだった。
眼鏡をかけた初老の男が淡々と説明するところによると、小松はハント中の事故で頭部を強打した際に記憶障害を起こしてしまっているらしかった。
フィクションの世界にしても、あまりにも陳腐だ。記憶喪失だなんて。
舌うちをしながらその男に詰め寄ると、なんとかしろよ、高い金使って研究しているんだろうが、とオレは毒づいた。だが男は、眉毛ひとつ動かさず「今のIGOの技術では、記憶の復元は不可能です」と感情のこもらない声で返した。その冷たい声が、熱くなったオレの頭を打った。沸騰しそうだった全身の血液が急速に冷えて行く。掴んでいた胸ぐらを離すと、男に背を向けた。
オレは勢いよく扉を蹴飛ばすと病室を後にした。蝶番が外れて扉は吹っ飛んだが、まあいいだろう。どうでもよかった。
許せなかった。
オレは小松を守れなかった。
次にオレが向かったのはライフだった。
運よく鉄平は与作の仕事場にいた。事情を話すと、オレは机の上に限度額無制限のブラックカードを置いた。
「いくらかかっても構わない。」
鉄平は横目でブラックカードを見ると、計ったコーヒー豆をミルにかけた。
コーヒーの香りが、血の跡だらけの仕事場に立ちこめる。ミルが豆を砕く音だけがしばらく響いた。コーヒーを淹れ終わると、カップに注ぎ、カードの隣に置いた。
長い沈黙を破って、鉄平が口を開く。
「残念だが、それはオレの仕事じゃない。」
オレは目を見開いた。
思わず大きな声が出そうになったが、鉄平の静かな声がそれを制した。
「小松くんの身体だけだったら、オレはすぐに再生することができる。そんなカードなんていらない。すぐにでも治す。
だが、小松くんが小松くんであるための記憶は、オレには再生できない。
脳の中のどこかを治せばいいと言うかもしれないが、そんな簡単な話じゃないんだ。」
オレは拳を白くなるまで握りしめた。
普段はいい加減なこの鉄平という男が余計なことを話さないということは、それだけ真剣なのだろう。病院の時のように怒鳴ることはできなかった。
鉄平は自分の分のコーヒーを啜ると、オレにも飲むように勧めた。
「深酒よりはこっちの方がマシだぜ。」
オレは指を鳴らして葉巻樹に火をつけると、煙を燻らせながら鉄平の淹れたコーヒーに口をつけた。コーヒーの香りが口から鼻に抜ける。
苦みと酸味が、舌の上に残った。
次にオレが向かったのはジダルだった。
グルメカジノの裏VIPまで通してもらうと、びっしりと脳の標本が壁に並ぶ薄気味悪い部屋でオレはオレよりも更に巨体の男と対峙した。
「久しぶりだな、ライブベアラー」
「なにかしら、トリコちゃんが私を訪ねてくるなんて、どういう風の吹き回し?」
にやにやと口元に薄ら笑いを浮かべて、ライブベアラーは答える。
一度和解したとはいえ、相手はかつての敵だ。こんな頼みごとをするのは筋違いかもしれない。だが、オレの知りうる限り、人間の記憶に一番詳しいのはこいつだった。
オレは事の顛末をライブベアラーに語った。
話し終わる頃には、ライブベアラーの顔から笑みは消えていた。
「なんとかなるか?ライブベアラー。」
ライブベアラ―は大きく息をついた。首を横に振る。
「悔しいけれども、不可能だわ。」
「そうか、お前でもか。」
「ええ…そのIGOのお医者さんが言うとおり、小松ちゃんの記憶が完全に壊れて失われているというなら、私にも打つ手はないわ。
私は他人の記憶を取りだして与えることには長けているけれども、最初からないものを作りだしたり壊れてしまったものを修理することはできないのよ。」
ライブベアラーは目を閉じた。
「でも残念だわ。私はずっと、小松ちゃんの脳に興味があったのよ。」
奪い取るような真似はもうしないけどね、と奴は付け加える。
「あれだけの才能を持つ子の食歴や知識、哲学や信念、あの子が目指している場所、そういうものを見てみたかったのよ。そしてあの子がどこに辿り着くのかも。」
普段の小馬鹿にしたようなねっとりとした響きの無い声は、ライブベアラーの言葉が本心であることを物語っていた。
だがしかし、その言葉にオレは腹の底からふつふつと込み上げる何かを感じた。
違う、違う。
「小松はまだ生きている。」
まだ、終わりじゃない。
「オレが、小松の記憶をまた作る。」
うまいものを食わせて
色んなところに連れて行って
見たこともないものをたくさん見せて
たくさんの食材を調理させて
「オレが、小松を取り戻す。」
ジダルを出ると、オレはテリーを呼んだ。
一刻も早く、小松の元へ戻ろう。
一度失った分、少しでも長く、あいつの傍にいよう。
小松の笑顔が、見たかった。
記憶喪失の奥さんのドキュメンタリーを観ながら、「くそっくそっこんなにベタなのに泣いてしまう、くそっ」となった後、「は!」となり、「いやベタこそが正義!」となり、記憶喪失ネタをやることにしました。
鉄平がコーヒー淹れてるのは本当に個人的な私の趣味です。
蟻を潰してコーヒーとか認めない←←←
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