忍者ブログ

釦録

萌えメモ的な何か
Prev | 2025/05 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 | Next
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

グルメ232
今週号たぎるたぎるって言ってたら、なぜか小松くんのモノローグができた。




早く。
一刻も、早く。

目の前に広がるのは変わり果てたクッキングフェスの会場だった。どこもかしこも崩れ落ち、煙を上げている。また、島のどこかで爆発音と何かが壊れる音がした。聞こえるのはもはやなんて言っているのかさえわからない悲鳴と叫び声。この状況の中で、ボクは却って冷静だった。
今のボクがすべきことはひとつ。

「トリコさん…!」

最近ようやくボクと同じくらいの大きさになったユンの身体にしがみつく。ユンの方にもボクを気遣う余裕はないから、振り落とされないようにボクも必死だった。空から、ボクは見なれた青い髪を探す。名前を呼ぼうと息を吸い込むと、煙と砂埃を一緒に吸ってしまいボクは盛大にむせた。口の中が砂でじゃりじゃりする。煙で目が染みる。
でもボクは必死で目を開いて前へ進む。
耳の奥にこびりついたココさんの声がボクを後押しした。

小松くん
一刻も早く移動しろ

トリコの元へ

そう言ってボクを送り出してくれたココさん。ココさんに限ってそんな、とは思っているけれど、ココさんは無事だろうか。頭の片隅で思う。ココさんの言葉に甘えて、ボクは飛び出してきてしまった。でも、ボクがいてもココさんの邪魔になるだけだし…
途中まで考えて、すぐに首を横に振る。違う。そんなのはただの言い訳だ。

ボクはただ、トリコさんに会いたい。
トリコさんの背中を見て安心したかった。トリコさんの声でボクの名を呼んで欲しかった。そうすれば大丈夫。トリコさんと一緒なら、どんな苦境も乗り越えてこれた。トリコさんはどんな屈強な猛獣も仕留め、どんな卑劣な敵にだって勝ってきた。いつだって。

「トリコさんトリコさんトリコさん…」

ボクは何かのおまじないのようにトリコさんの名前を呟く。
そうすると、少し勇気が湧いた気がした。ボクは再度大きな息を吸い込み、叫んだ。
トリコさんの耳に届くように。

「トリコさあぁー」

そこで限界が来たユンが突如地面に墜落した。ボク達は間抜けな声を出して土の上を滑った。無防備な状態で突っ込んだので、身体のあちこちが痛い。上半身を起こして顔の砂を払うと揺れる頭を落ち着かせながら、周りを見渡した。

ボクの目の前で、黒い髪が揺れた。

「来たな」

それは腹の奥底を揺さぶるような恐怖の記憶。
その声の響きをボクは即座に思い出す。

「たった今…終わった所だ…」

その男は薄い笑みをボクに向ける。右腕一本で変わり果てた大きな身体を持ち上げて。
腕をつたう血はあまりに赤く、煙の上がる身体は焦げた肉の匂いがした。
力の入らない四肢がだらんと垂れさがる。泥と煤で汚れた髪の毛は、ボクが探していた青い色をしていた。

ボクの呼吸が止まる。

まさかそんな嘘ですよね。嘘だと言って下さい。
もしくは夢だと言って下さい。こんな馬鹿な夢をみちゃって、「縁起悪いこと言うなよ」って嫌そうな顔をするあの人の声を聞かせて下さい。
でも握りしめた拳に爪が食いこんで、痛い。

トリコさんと一緒なら、どんな苦境も乗り越えてこれた。トリコさんはどんな屈強な猛獣も仕留め、どんな卑劣な敵にだって勝ってきた。いつだって。
ねえ、いつだってそうだったじゃないですか。

自分の顔が引きつるように歪むのがわかった。
声を出したいのに出なくて、空気を求める金魚のようにぱくぱくと口が動いた。

いつだってあなたはボクの中でヒーローだったんです。
あなたの隣を歩けることが光栄だったんです。
ずっと、ずっと、この先も一緒だって、コンビとして守るって、フルコース作ろうって、


約束、したじゃないですか。


頭の中でハンマーを振り下ろすような音がやまない。なびく黒髪も流れる血も上がる煙も揺れる身体も全てがひび割れ遠ざかっていく。足を着いているはずの大地の感覚がない。さっきまで必死で動き回って熱かったはずなのに、全身を伝う汗は冷水のように冷たかった。からからの喉から振り絞るように叫ぶ。

「トリコさぁぁああん!!!!」



ひびの入ったボクの世界の崩れる音が、確かに聴こえた。




カリスマはグルメ時代においては実はあんまり強くない(特に最近強い人がいっぱい出てきて「お前はまだまだだぜー!」という印象を受けて)と思うのですが、小松くんにとっては刷りこみのように最強で絶対的な信頼を寄せる神様みたいな存在だと思うのですね。
それが裏切られたということに、私はドン底の予感がして、鬱好きな変質者として震えながら続きを待っています。なんてこった。変態でゴメンね(^q^)テヘペロ
PR

Comment

お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
パスワード   
カレンダー
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
手ブロ
pixiv
最新コメント
最新トラックバック
プロフィール
HN:
性別:
女性
ブログ内検索
フリーエリア
忍者ブログ | [PR]

Material by Quartz